循環共生システム研究室の紹介
目的
循環型・脱炭素・自然共生社会の3つの社会を統合的に実現し、開発途上国及び次世代に向け持続可能な社会を形成するために、基礎実験・フィールド調査・アンケート/ヒアリング調査・モデル化・各種指標の評価などを駆使し、社会実装可能な廃棄物等の物流・変換管理システムを提案することを目的としている。
主な研究テーマ
(1) 計画の視点
カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブを通した持続可能な社会を達成するためには、国・都道府県・市町村レベルの計画をいかに構築し、そして行政・事業者・市民らが協働して実行することが重要です。地域の皆さんと一緒にボトムアップで計画を策定するための研究、廃棄物処理・リサイクルシステムや施設配置の最適化、地域特性によって異なる計画の分析などを行っています。
(R5年度卒・修論論文より)
・野見山漂:2050年の北海道における新たな広域ブロック検討のための廃棄物焼却施設・中継施設の最適配置に関する研究
・新井義輝:資源循環マップを用いた小規模自治体における地域内資源循環構造の分析
・龍田創紀:脱炭素施策の地域類似性に関する研究~北海道内自治体を対象として~
(2) 環境保全の視点
資源の節約と環境の保全に貢献しない悪いリサイクルが存在します。リサイクルが進んでもエネルギーを利用しすぎて、温室効果ガス発生量が多くなるばかりではなく貴重な資源を多く利用してしまう場合や、悪臭や地下水汚染など水質汚濁が増えてしまっては意味がありません。また、東南アジアなど発展途上国では、日本とは異なり必ずしも焼却のみに頼らない廃棄物管理方策が模索されています。基本的な処理プロセスである、手選別・機械選別、バイオドライングによるごみ燃料化、たい肥化・メタン発酵による肥料やエネルギー製造が可能なMBT(Mechanical and biological treatment:機械的生物学的処理)システムの研究も行っています。
(R5年度卒・修論論文より)
・森啓:廃棄物手選別作業疲労低減のための作業時身体負荷の定量化に関する研究
・藤本壮大:東南アジア環境下における温室内バイオドライングMBTの熱計算
(3) バイオマスの視点
地球上に降り注ぐ太陽光による光合成によってできたバイオマスを、使い過ぎないで有効に利用することこそが重要です。炭素の循環のみならず、肥料成分としての窒素やリンの循環にも注目して、基礎的な技術の開発のみならず、たい肥化、メタン発酵、木質バイオマスの熱利用、農業残差の燃料化などの地域システムづくり(社会実装)を目指した研究を展開しています。
(R5年度卒・修論論文より)
・Hiroki Iwatsuki: Performance of microalgae cultivation in the raceway reactor with membrane separation using cow manure digestate as nutrients considering different membrane pore sizes
・Shun Otsuka: The current situation of liquid-bio fertilizer utilization and the ammonia volatilization during its application to farms
・坂口慎治:牛ふんバイオガス発電排ガスと消化液を用いた土着微細藻類培養リアクターの開発~気液平衡炭酸ガス供給によるpH制御と炭素源供給について~
・秋由堅伸:牛ふんメタン発酵消化液を用いた土着微細藻類培養における混合・従属栄養条件の比較
・大塚祥乃:食品廃棄物バイオガスプラントにおける高負荷・安定運転のためのデータ解析と考察
研究室のこだわり
「次世代(2050年、2100年)に向け、物とエネルギーをどのように循環すべきかを考えています。」
そのために、
・バイオマスのエネルギー利用による地域創生に取り組んでいます。
・将来の資源と環境保全のために、新しい静脈系システム(最終処分システム)を考えています。
・技術(新技術、応用技術、組合せ技術)だけではなく、社会(経済、心理、制度)の両面からアプローチします。
本研究室の特徴
1.寄附分野(講座)と連携していること。 →寄附講座の変遷の変遷をご覧下さい。
2.NPO活動と連携している。 NPO最終処分場技術システム研究協会 と NPOバイオマス北海道
3.異分野融合型の研究やプロジェクトに関与していること。
お気軽に研究室まで御連絡下さい。 教授 石井一英